From:柳岡亮

マーケターって誰のことでしょうか?

企業のマーケティング部の部員は
マーケターでしょうか?

広告代理店でプランナーをしている人は
マーケターでしょうか?

あるいは、
マーケティングを研究している教授は
マーケターでしょうか?

実は、ここに書いたどのパターンも
マーケターであるとは限りません。

マーケターであるかどうかは
その所属で決まるわけでも、

マーケティングを頭で
知っているかどうかでもないということです。

では、マーケターとは誰のことを指すのでしょうか?

シンプルな答えは
「マーケティングができるかどうか?」
に尽きます。

寿司をよく知っていることと
寿司を握れるかが全く違うように、

ギターをよく知っていることと
ギターを弾けるかが全く違うように、

マーケティングを知っていることと
マーケティングができることは全く違います。

つまり、
マーケティングを出来る人のことを
マーケターと呼ぶのです。

経営学部のマーケティングの教授と言えども
その多くはマーケターではありません。

マーケティングのことを
よく知っているのは間違いないですが、
マーケティング実務を豊富に積まれた人は
非常に少ないです。

もちろんマーケティング研究者の先生方は、
実務者であるマーケターが逆に苦手とする
客観的な視点からマーケティングの発展に貢献されていて
どちらが良い悪いという話ではありません。

マーケティングの発展には
実務者と研究者の両方が必要です。

ここで強調したいのは、
マーケティングができる
マーケターになりたいのであれば、

実戦経験を
たくさん積む必要があるということです。

実戦経験がなければ、
実際の現場においてマーケティングを高確率で
成功させることはできないのです。

逆にマーケティングの勉強をしてないけど、
もともとの高い知性と豊富な経験から学ばれた
「顧客を喜ばせる工夫」が素晴らしくできていて、

非常にマーケティングの理にかなった
商売をしているという人もいます。

僕はいつもお馴染みのお店に通って思うんです、
「まるでマーケターだな」と。

僕がヤンチャ坊主だった18歳ぐらいから
世話になっている行きつけの古着屋さんの店長。

僕は、この古着屋さんに
服を買いに行っているようで
本当は服を買いに行っているわけではないのです。

カウンセリングに通っているというのが真実(笑)。

「古着を売る」というサービスだけなら
外でもできるのですが、

店長は抜群の知性と話術で
客の心のウサや悩みまで
見事に着替えさせてくれます。

客に媚びることは一切なく、
その時々に必要なことを洞察して
ズバッと直言してくれます。

この古着屋さんに言ったあとの
なんともスッキリすること!

そこまで差別化されたサービスは、
なかなか代替えが見つかるものではありません。

「古着屋を超えた人柄」こそが、
異様に高いリピート率を獲得している
その店のUSP(独自性)です。

日本という国には、
マーケターとして自覚はしていないけれども、
このような「市井のマーケター」も
たくさんいらっしゃると思っています。

マーケティングの仕事は
売ることではなく、
売れるようにすることです。

そのためには顧客を理解して
顧客が自然と欲しくなるような商品を
目の前にだしてあげること。

これに尽きます。

それを実行するのがマーケターです。

あなたがいつも通っている
いきつけのお店があれば
そこの店長も実は『マーケター』かもしれません。