人前でチュッパチャップスを舐めるのはカッコいい?

From:柳岡亮

チュッパチャップスといえば、
誰もが知っているお菓子の1つだろう。

そんなチュッパチャップスは、
2022年で日本に上陸してから
45周年を迎えることになった。

ロングセラーの商品なわけだが、
コロナの影響で売上が一度は落ち込んでいた。

だが、その後、驚異のV字回復をみせ
コロナ禍前よりも6%も売上が成長した。

その大きな要因の1つが、
Z世代へのマーケティング施策の成功だという。

では、どのようにして
若者のハートを射止めたのだろうか?

チュッパチャップスの
ブランドマネージャーである
小長井氏はこう話していた。

「1つはコロナでも広告を減らさずに実施したこと。
 そして、96.9%のコンビニで買えるので、
 広告をみたときにすぐに買える状態だったこと。
 
 そして、コロナ禍でおうち時間が増えたから、
 逆に食べる機会が増加したことが、大きな要因だった」

日本ではチュッパチャップスを
人前で食べることを

「恥ずかしい」
「行儀が悪い」と思い、
チュッパチャップスが好きな人でも、
外で食べることをためらう傾向があった。

それが、コロナのおうち時間が増えたことで、
思う存分、チュッパチャップスを
満喫できるようになったのだ。

だから、コロナがチュッパチャップスの
売上を伸ばしたということは1つ要因でもある。

そして、もう1つは10代の顧客が増えたということ。

21年の売上データを見ると
10代女性では169%
10代男性では670%と
約7倍に伸びている。

それにチュッパチャップスはCMにも
若者に人気の俳優やお笑い芸人を起用することで
より若者のハートに刺さったプロモーションを
継続してきたからでもあるわけだ。

だが、チュッパチャップスは
大きな課題を抱えていたのも事実。

それは、小学生にはよく食べられているが、
中学生、高校生、大学生と成長するにつれて
チュッパチャップス離れが加速していく傾向があったのだ。

その理由を知るための若者に
『インタビュー』をすると、

“子供っぽい”、”幼い”のような
ネガティブなイメージがあり、

「自分向けの商品ではない」
と思われていたことがわかった。

そこで、チュッパチャップスは、
Z世代に影響を与えている人物やブランドから
SNSを通じて発信するマーケティングを実施。

その代表例が9090とのコラボだった。

このマーケティング効果が絶大で、
チュッパチャップスへの共感性が高まり、
「自分の商品だ」と顧客の考えを変えることに成功した。

中高生や、大学生の間で
人前でチュッパチャップスをなめるのは
「むしろかっこいい行為」として広まり、
10代の売上を爆発的に増やしたのだ。

もう1つ、時代の流れを読み
開発したのがミニサイズのチュッパチャップスだ。

従来であればなめ終わるまでに
30分ほどかかるため時間の長さがネックだったが、

サイズを小さくすることで
時間を半分程度でなめおわるように設計した。

このようにチュッパチャップスが
ロングセラーを続けているのは、
ただ商品が良いからではなく、
徹底したマーケティングの実践だ。

マーケティング=顧客理解

この公式を忘れずに、
チュッパチャップスのコンセプトでもある
「フォーエバーファン」を崩さない姿勢が、

チュッパチャップスを
ロングセラーブランドとして
確固たる地位を築いている強さを改めて感じさせられた
素晴らしいマーケティング施策だった。

ーやなぎおか