私が最近読んだ本から、大企業が経験した失敗例をご紹介いたします。この事例を通じて、商品・サービスに自信を持つ会社が陥りがちな誤った方向性について学んでみましょう。

シャープの失敗:自己満足からの転落

取り上げる失敗事例は、シャープという企業です。2001年に商品化された液晶テレビの人気は高まり、2002年度には約2兆円の売上を達成しました。その後も5年後には売上が約3兆4177億円まで成長し、「亀山モデル」というブランドが幅広く認知されました。

技術の高みにあるが…

シャープの経営陣は、自社の技術力に誇りを持ち、実際に競合他社よりも優れた技術力を保持していました。しかし、その技術差はユーザーには理解されないレベルにまで達していました。たとえば、液晶テレビの解像度は人間の目が認識する解像度を上回り、見込み客からすればどのテレビを選んでも同じように見える状況でした。

差別化の難しさと価格競争の悪化

その結果、シャープの液晶テレビは競合商品との差別化が難しくなり、消費者からは価格だけで比較されるようになりました。差別化の難しさに直面した結果、シャープは大幅な赤字に転落し、ついには他社の支援を求めざるを得ない状況に追い込まれました。

顧客ニーズこそが至上

この事例から得られる教訓は、優れた商品や技術があっても、それがユーザーに求められていなければ意味がないということです。この誤りには、職人気質の人々が陥りがちです。彼らは自分たちが何を提供したいのかという視点で物事を考える傾向がありますが、その結果として生まれる商品は自己の欲望に過剰に反映され、顧客には響かないものとなってしまいます。

顧客の視点からスタート

最高の商品であっても、顧客からすれば他の商品と同じように映るかもしれません。重要なのは、顧客が何を求めているかという視点から出発することです。これは基本的な考え方ですが、つい忘れがちなことでもあります。今回の事例を通じて、この重要なポイントを改めて確認してみましょう。

追伸:顧客の声を大切に

最近、「地球の歩き方」を運営している学研の幹部も、自己の欲望が強く影響を与えていた例がありました。自分が提供したいものではなく、顧客が必要としているものを提供することを心掛けましょう。成功するためには、顧客のニーズを最優先に考えることが不可欠です。