From:柳岡亮

武田信玄にまつわる
こんな逸話があります。

勇者が重宝される
戦国時代にもっとも軽蔑されていたのは
「臆病者」です。

臆病者は
使いようがない人間の代名詞でしたが、

武田信玄は
「使えない人間などいない。
 臆病者は偵察部隊に使うと良い。
 
 勇者を偵察に向かわせると
 敵を過小評価ばかりする。
 偵察には臆病者の方が優れている」

と言ったと伝わります。

その人の特徴が強みになる文脈で
貴重な人的資源を使い切るという考え方は、
現代のマネジメント技術にも通じるものがあります。

では、ここで戦国時代に
タイムスリップしたとしましょう。

100人の軍隊と
80人の軍隊が戦ったとします。

1人1人の戦闘技能は
まったく同じだとしたら、
どちたらの軍隊が勝つと思いますか?

普通は、100人の軍隊が勝つだろう、、、
と思いますよね?

しかし、
実際はそうとも限らないのです。

5つの戦場があるとして、
100人の軍隊が20人ずつ部隊を
5つに割って攻めてきたとします。

それに呼応して80人の部隊を
5つに分けて16人ずつで応戦したら
どうなるでしょうか?

5つの全ての戦局で
数的不利な状況を免れません。

1人あたりの戦闘力が
同じと仮定すると、

20人対16人の戦いを
5つの戦局で行った結果は
「5対0」となり、

100人の軍隊が高確率で
一方的な勝利をおさめることになります。

しかし、
80人の軍隊に優秀な軍師がついて、

5隊に分かれた100人の軍隊に対して
2箇所の戦局は最初から捨てて
残りの3箇所に人員を分けたらどうなるでしょうか?

80人の軍隊は、
隊を5つではなく3つに分けます。

3つの戦局にのみ
「30人、25人、25人」の
3部隊を展開するのです。

すると、
完全に放棄した2箇所は負けるとしても、
3箇所では勝利することができます

大局としては
「2対3」で80人の軍隊が勝つことができるのです。

数的有利は必ずしも大局での
勝利を保証するものではないのです。

大切なことは、
大局で勝つために大事な1戦闘当たりの
数滴優位をどうやって作り出すか、
そのために何を捨てて
どこにフォーカスするのかを選択することです。

では、タイムスリップから戻りましょう。

これは仮想の戦争の話しだけではないんですね。

100人の軍隊を5つに割ってしまうケースは
現実のビジネスでよくあるパターンなのです。

100という経営資産を
5つのマーケティング活動に
割り振ってしまったがゆえに、

その戦局においても資源が足りずに
「勝てるライン」に届かないで
負けてしまうパターンです。

これは予算の分配と見てもかまいませんし、
人員の配置と見てもかまいません。

勝てるラインとは、
そこまでやらないと
効果が見込めない一線のことです。

マーケティングをやっていると
あれもこれもやらないと不安になるので、
あれこれ手を出して限りある資源を
どれも中途半端に消費してしますことが
珍しいことではありません。

選ぶことで勝利の確率を上げることが出来ます。

例えば、
5つのマーケティングで
ネット広告、LP、HP、SNS、SEOがあったとします。

ネット広告、LP、HPに
集中することを選ぶこと、

つまり
SNSとSEOをやらいないことを選ぶことで

ネット広告とLP、HPだけは
勝ち負けラインに届く経営資産を
集めることができるようになるということです。

常に足りない経営資産を、
どこに集中するかを選ぶことで
足りるようにするのです。

何に集中するのかを選ぶのです。

やることを選ぶということは、
同時にやらないことを選ぶということ。

これがマーケティング戦略の
核となる考え方の「選択と集中」です。

すべてやろうとすることは、
つまり選ばないということは、
戦略がないということです。

とりあえず全てやろうとすることは、
意味なく経営資産を分散させてしますだけ。

愚か者のすることです。

この「選択と集中」は、
仕事全般に当てはまります。

あなたは、すべての仕事を
とりあえず全部自分でやろうとしていませんか?

僕は10球飛んできたら、
最も重要な3球ほどを注意深く選んで、
それ以外は打たないようにしています。

飛んでくる10球の仕事が
会社に与えるインパクトというのは
それぞれ異なるはずです。

10球全てで
ギリギリ合格点の60点を取っても
大した成果がでません。

先程の100人の軍隊のような
「資産の分散」という失敗をしているだけです。

ここで重要になるのは
野球なら選球眼、
仕事ならば戦略眼です。

会社に対して
最も重要なインパクトを与える球と、
その次に重要な球2つ、
合計3球程度をよく選んでください。

この3球に集中することで、
最も大切な球は100点を、
次の2球はそれぞれ80点を狙いにいくのです。

その他の7球は、
黙ったまま放置していると
お客さんだったり取引先、上司などの
人間関係に禍根を残すので、

できるだけ早めに
『打たない』ことを
明るく宣言します(笑)。

やらないことを合意する、
納期を遅らせることを合意する、
あるいはやったフリをする(笑)。

だいたい
この3通りの処理をしておけば大丈夫です!

重要でない7つをやる時間と労力を、
重要な3つに集中してより高い成果を出せば、
全部やらないことは命取りにはなりません。

むしろ最も重要な仕事で突出した成果を
生み出せばあなたのビジネスで地域ダントツを
獲得することができるでしょう。

幼少期から勤勉であることを
要求される日本人は、

学校の宿題や提出物などを
「全部やる」ことを習慣付けられてきました。

しかしそれは
戦略的であることとは
真逆の教育で
す。

ちなみに僕は
小学生の頃に体育の一輪車の授業で
将来自分に使わないと思ったので

その授業は休んだり、
隅っこでサッカーのリフティング練習をしてました。

高専に進学してからも
自分にはまったく興味のない科目は
赤点ギリギリの合格点を取る勉強のみで
乗り越えていたような子どもでした。
(変わっていると子どもの頃から
 よく言われています!)

もう一度言います。

とりあえず、
全部やろうとすることは、

無意味に資源を分散させているだけの
「戦略なき愚か者」のすることです。

そこに戦略がなければ
突出した成果など望めないのです。

さぁ、あなたは
この話しを聞いてどうしますか?

PS.
ここでクイズです。

経営資産は6つに分かれます。

「カネ、ヒト、モノ、情報、時間、知的財産」。

これらの経営資産の中で
企業経営にとって最も大切なものは
どれだと思いますか?

答えは、
・・・「ヒト」です。

なぜ、ヒトなのか?

これの理由については
また後日、論じていきます。